月経時片頭痛

ICHD-3における月経時の前兆のない片頭痛とは、月経初日の二日前から三日後までの間に始まる発作が、三周期のうち少なくとも二周期でみられるものをいいます。月経日を記録したダイアリーがあれば、周期に沿っているように見えるだけの発作と区別できます。

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このページの内容
  1. 診断基準
  2. 対象期間を調べる
  3. 頻度
  4. 発作の違い
  5. 起こる理由
  6. 記録のしかた
  7. 治療の選択肢

診断基準

国際頭痛分類(ICHD-3)は、研究段階の基準をまとめた付録に二つの型を記載しています:

型 対象期間内の発作 それ以外の時期の発作
純粋月経時前兆のない片頭痛(A1.1.1) 少なくとも2周期(3周期中) なし
月経関連前兆のない片頭痛(A1.1.2) 少なくとも2周期(3周期中) あり
  • 対象期間は月経1日目±2日、つまり−2日目から+3日目までです。1日目は出血の初日、−1日目はその前日です。0日目はありません。
  • 月経には、ここでは複合経口避妊薬や周期的ホルモン補充療法による消退出血も含まれます。
  • 発作は前兆のない片頭痛の基準を満たす必要があります。月経時の発作の多くは前兆を伴いません。
  • 前兆のある型:ICHD-3には純粋月経時前兆のある片頭痛(A1.2.0.1)と月経関連前兆のある片頭痛(A1.2.0.2)も記載されています。このページでは前兆のない型の基準を扱います。

対象期間を調べる

日付を選ぶと、対象期間の五日間が表示されます。

頻度

推定値は方法によって異なります:

  • 10,176人の女性(30〜44歳)を対象とした自己申告に基づくノルウェーの住民研究では、片頭痛のある女性の21%に月経時片頭痛があり、7.7%が純粋月経時、13.2%が月経関連の型でした(Vetvik 2010)。
  • 2023年のレビューでは、月経時片頭痛は生殖年齢の女性の約6%にみられました。30〜34歳の女性では、0.8%が純粋月経時、5.3%が月経関連の型でした(Raffaelli 2023)。
  • The Migraine Trustは、片頭痛のある女性の最大で三分の二に月経と関連する発作がある可能性があり、純粋月経時片頭痛の人は1/100未満であるとしています。

ICHD-3は、多くの女性が発作と月経の関連を過大に報告すると記載しています。記憶よりも前向きのダイアリーのほうが正確です。

発作の違い

周期のほかの時期の発作と比べて、月経周辺期の発作には次の特徴があります:

  • 持続時間が長い(最大35%長い)(Raffaelli 2023);
  • より重く、随伴症状が多い(Ornello 2021);
  • 急性期治療薬が効きにくい(Ornello 2021);
  • トリプタン使用後に再発しやすい(Raffaelli 2023)。

起こる理由

ICHD-3は、発作が月経前のエストロゲン低下に続いて起こることを示す一定のエビデンスがあり、ほかのホルモン変化も関与している可能性があるとしています。The Migraine Trustは、月経開始時のプロスタグランジン上昇も挙げています。2023年のレビューは、エストロゲン消退のエビデンスは限られていて相反しており、初期の研究は小規模で、ランダム化も盲検化もされていなかったとしています(Raffaelli 2023)。

記録のしかた

  • NICEは、月経開始の2日前から3日後までの間に発作が始まり、それが少なくとも2周期(連続する3周期中)でみられる場合に月経関連片頭痛を疑い、診断には少なくとも二周期のダイアリーを推奨しています。
  • ICHD-3は、研究目的では少なくとも三周期の前向きのダイアリーを推奨しています。臨床診断には必須ではありません。
  • 記録:月経日と発作を同じカレンダーに記録します。印刷用ダイアリーにはそのための月経日の欄があります。

治療の選択肢

治療は医師とともに選びます。ガイドラインとレビューは次の選択肢を挙げています:

  • 急性期治療:NICEは、月経関連片頭痛には片頭痛の標準的な急性期治療を用いるとしており、片頭痛全般にはトリプタンとNSAIDまたはアセトアミノフェンの併用を推奨しています。月経時片頭痛に特化して設計された急性期治療薬はありません(Ornello 2021)。
  • 月経周辺の短期予防:発作が予測でき、急性期治療が効かない場合、NICEは発作が予想される日にフロバトリプタンまたはゾルミトリプタンを使用する方法を挙げ、これが適応外使用であると記載しています。レビューではナラトリプタン、ナプロキセン、エストラジオールゲルも取り上げられており、試験のエビデンスが最も強いのはフロバトリプタンとナラトリプタンです(Ornello 2021)。
  • ホルモン療法の選択肢:The Migraine Trustは、一部の女性の選択肢として複合ホルモン避妊法を挙げていますが、前兆のある片頭痛やその他の脳卒中リスク因子がある人は対象外です。

短期予防のために使ったトリプタンの日数はトリプタンの使用日数に加算され、薬剤の使用過多につながることがあります。日数を数える。

短期予防には予測可能な周期が必要です。これも、記憶ではなくダイアリーから自分の対象期間を把握しておくべき理由の一つです。

出典

  1. ICHD-3, A1.1.1 Pure menstrual migraine without aura
  2. ICHD-3, A1.1.2 Menstrually related migraine without aura
  3. ICHD-3, A1.2.0.1 Pure menstrual migraine with aura and A1.2.0.2 Menstrually related migraine with aura
  4. ICHD-3, A1.1.3 Non-menstrual migraine without aura (comments)
  5. NICE CG150. Headaches in over 12s: diagnosis and management. Recommendations
  6. Vetvik et al. J Headache Pain 2010. Population study of 10,176 women aged 30–44 (Akershus study of chronic headache)
  7. Raffaelli et al. Menstrual migraine is caused by estrogen withdrawal: revisiting the evidence. J Headache Pain 2023;24:131
  8. Ornello et al. Acute and preventive management of migraine during menstruation and menopause. J Clin Med 2021;10(11):2263
  9. The Migraine Trust: Menstrual migraine

2026年10月28日にこれらの出典と照合しました。 このページの執筆・確認方法